WORLD
20世紀末。ユーラシア中央部を始めとして世界各地に現れた「ネスト」より、未知の敵「XX=イクシス」が出現。人類は新たなる脅威に直面した。
緒戦の電撃的奇襲と物量、未知の能力により、一時は危機的な状況に立たされた人類だったが、各国軍の奮戦によって辛うじて防衛線を確立。封じ込めに成功した。
しかし、それは戦争に対する意識の変容を一般大衆にもたらした。各国に現れた無数の小規模「ネスト」による同時多発的・持続的な襲撃により、人々は未知の敵との恒常的な戦闘を強いられることになり、「戦争」に対する当事者性を強く認識せざるを得なくなったのだ。「戦争は日常のすぐそばに存在する」と。
そして現在。この国には、民間防衛の一助として設立された「指定防衛高等学校」に通う生徒たちがいた。「日常と隣り合わせの戦争」が当たり前の若い世代だ。彼らは学校生活を送りつつ、有事には防衛戦闘の最前線へ向かう立場だったが、屈託なく状況を受け入れ、青春を送っていた。……しかし、そんな青春すら許されない深刻な脅威が迫っていた。
彼らは生きる、ささやかで危うい「この日常」を。彼らは銃を取る、まだ知らぬ「本当の日常」を取り戻すために。


ENEMY
人類の敵“XX=イクシス”
指定防衛校の生徒たちが対峙する人類の敵“XX=イクシス”。“ネスト”と呼称される空間から出現する。
現在に至るまで、コミュニケーションに成功した例はなく、人間に対して敵対的な行動をとる以外、その由来や詳しい生態は不明瞭なままだ。
緒戦では非武装の動物型しかいなかったが、圧倒的な物量と電撃的奇襲により人類に大打撃を与えた。しかし、知性的な動きができないという弱点を突くことにより撃退に成功している。
3年前の第2 次大侵攻においては、戦訓を学習し、人類の2 大有利である「知性」と「武装」に対抗できる、武装化された動物型と知性あるヒューマノイド型が出現し、明らかに指揮統制の取れた行動と強力な武装で人類に相対した。
時間の経過と共に、人類側の対抗手段を学習・模倣していくようで、彼らが手にする武器・装備は明らかに人が作り出したそれを模しており、彼らとの戦いが厳しくなる原因となっている。
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XX-01 人型XX「キュレーヴ」
コマンダーとして獣型XX、半獣(亜人)型XX等を指揮する。
XXとしては高い知能を持ち、人間的な判断力も持つ。
自ら先頭にたって戦うことはほとんどないが、戦闘力もそこそこ高い。 情報収集力に長けており、兎の耳のようなアンテナは高い聴覚情報も収集している模様。他小型UAV的な飛行型XXや獣型XX、半獣(亜人)型XX等が得た視覚、聴覚情報を常に収集し、的確な戦術を操る厄介な存在。
XXは特に食事をとることはないが、リンゴを見つけるとかじる癖がある。何かしらリンゴ=知恵の実(禁断の果実)という旧約聖書の引用を信じている模様で知的欲求に貪欲。けっこう勤勉。 -
XX-02 デミ・ヒューマノイド型XX「メィピィス」
蜘蛛をルーツに持つデミ・ヒューマノイド型イクシス。
通称は「メィピィス」。知性は低く動物的な行動パターンが多いが攻撃力はとても高い。
メインウェポンだけでなく、40mm×4門とバルカン砲を搭載したアームを持ち破壊力は凄まじい。
40mmには通常榴弾の他、スモークや蜘蛛らしくネット状の捕縛網を発射し、相手の動きを封じたりもする。
歩行速度はそれほど速くないが、多脚型のアームは壁だろうが天井だろうが強引に歩行可能な他、跳躍力もあるので一気に間合いを詰めることもできる。
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XX-xK9x 獣型XX
通称ケーナイン。野生の犬または狼をルーツに持つXXの複製型。
噛み付いたり体当たりといった原始的な攻撃方法でその攻撃・行動パターンは大型の犬や狼と同じ。移動速度も速い。
聴覚や嗅覚も良く、人型XXの目や鼻としても活動する。 -
XX-xWOJTEKx 獣型XX
ビースト型イクシス、通称ヴォイテク。野生の熊をルーツに持つイクシスの複製型。
攻撃パターンは野生の熊そのものの他に、スモーク弾、ロケットランチャー等を装備する特殊個体。移動速度は遅いが攻撃力は高め。
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ヒューマノイド型(xWALKERx)
ヒト型イクシス、通称「ウォーカー」。
片手に短射程の銃を持ち、もう片手は腕と一体化した近接武器となっていることが多い。知能は低く、被弾耐性は人間と同程度。対処は容易と思われがちだが個体数が多いので注意が必要。
指定防衛校の教範では「距離を取り、小銃で確実に仕留めるように」と紹介されている。

TERMS

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指定防衛校
指定防衛校(指定防衛高等学校)とは、「国内事態対処法」に基づいた国の指定により、防衛教育と地域防衛を行う中等教育機関のこと。
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設立背景
緒戦の大侵攻後、民間防衛及び自衛隊の強化が必要となった結果、「国内事態対処法」にもとづき、未成年者もまた戦列に加えなければならないと政府は判断。「国内事態対処法」の一環として、防衛省が指定する高等学校に民間防衛の一環を託し、さらには卒業者の自衛隊への編入をも目論んで設立された。
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概要
指定防衛高等学校は中等教育を受けたものが任意で入学できる。指定防衛高等学校入学者は一般教育のほか軍事教練を受け、民間防衛においてはその先鋒として敵との戦いに動員される。
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カリキュラム
指定防衛高等学校の軍事教練は、普通科・特殊作戦科・機甲科などを始めとした、現代軍隊が必要とする全ての兵科が揃っている(一部特殊兵科は専門の指定防衛高等学校が主体となって教練を行う)。指定防衛高等学校入学者は、いずれかの兵科コースに進み、その訓練を受ける。最も多いのは普通科である。軍事教練においては基礎体力作りからコースごとの専門知識までが一通り教え込まれる。
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訓練と演習
実戦を想定した演習も、小はクラス内の各班から大は他校との対抗演習まで多彩である。他校生徒との交流は防衛時連携の強化ための積極的に推奨されている。結果として、各校内部に留まらない幅広い交友関係を、生徒たちは持つことになる。
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実働任務
敵との戦いだが、指定防衛高等学校生徒は自衛隊の指揮下「国内事態対処要員」として敵の大規模侵攻などの緊急事態時に大規模動員される他、ゲリラコマンド的攻撃に対する少人数での定期パトロールや他の民間防衛組織(周辺地域の民間防衛組織や他の指定防衛高等学校部隊など)からの緊急応援要請に対応することも義務付けられている。敵との接触はパトロールや緊急応援要請による出撃などで起こることが多い。 パトロール中の敵との接触においては自身の判断による戦闘が許可されており、自身並びに周辺住民の被害を抑えるべく、周辺民間防衛組織、特に指定防衛高等学校生徒との連携が推奨されている。
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卒業後の進路
指定防衛高等学校卒業者は任意に進路を決められる。多数は進学や就職など民間に進路を定めるが、自衛隊などの軍事スキルを活かせる方向に進むものも一定いる。民間に進んだものであっても、指定防衛学校卒業者は、一定期間予備役として必要時には動員される。
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優遇制度
これら義務の対価として、指定防衛高等学校進学者は、在学中から卒業後に至るまで各種社会保障の優遇措置を受ける。これを目当てに進学する生徒も少なからずおり、優遇措置は効果を上げているといえる。
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服装・装備
通常は制服姿であるが、最低限の護身装備として拳銃などの所持が義務付けられている。
パトロール時・緊急出動要請時はパッケージアートのスタイルである。あえて制服をパトロールや戦闘時にも用いるのは、一般市民の不安を緩和するとともに、所属を明快にする目的がある。
武装した少年少女達が街のそこかしこで見られるという光景は、戦前世代の一部にとっては若干憂鬱なものであるが、完全武装の兵士たちによる厳戒体制よりはマシである。少なくとも大規模侵攻のような非常事態には陥っていないということを指し示しているし、本人たちは日常の延長線上として自然に受け入れている。 -
武器について
武装は基本的に自衛隊や米軍の制式兵器であることが多いが、各校や個人の判断により欧州・ロシア製武器を用いることもある。日本においては緒戦において米軍の対外有償軍事援助のみでは足らず、各国から武器をかき集めた経緯があり、それが慣例化している。
SCHOOL INTRODUCTION

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私立 古流高校
学科:普通科・特殊戦科・武器科
指定防衛校化当初は苦戦を強いられた古流高校だが、特殊戦科設立を契機に戦果を上げ、注目されるようになった。当時の理事長と担当幹部自衛官の働きかけにより、実戦経験豊かな海軍特殊部隊が特殊戦科設立に関わった経緯があり、生徒達が積極的に彼らの技術と経験を取り込んでいった結果と云われている。
一般進学校だった頃から生徒の自主性を重んじる自由な校風だったが、指定防衛校となった現在でもそれは続いており、生徒の武器・装備の自由度の高さに現れる同校の特徴となっている。
特殊戦科は厳しい日々のカリキュラムをこなす必要があるが、それ以外の学科では学校行事や部活動なども盛んで一般高校と変わらない一面も合わせ持っている。校訓は「勤倹力行」と「臨機応変」。 -
私立 城宗統合学院
学科:特殊戦科
通常戦力を正面からぶつけることができない非対称戦争となった本土危機の苦い経験から、それに対応できる「特殊部隊」開発を目的に設立された指定防衛校。広大な敷地と豊富な訓練教材に加え、政府からの多大な予算援助も受けている恵まれた学校である。その分、与えられるカリキュラムと作戦のハードルも高いが、上昇志向の強い生徒たちによってそれをクリアする日々だ。
他校の練度を高めるために演習に於いて仮想敵を務めることも彼女らの任務の一つだが、まま「やり過ぎる」こともあるようだ。
近年、過剰な実弾訓練や、桁外れの弾薬消費量が問題となっている。 -
私立 八野辺高校
学科:普通科
1学年18学級という規模の大きな指定防衛校。普通科では「歩兵戦カリキュラム」に力を入れており、機関銃や迫撃砲といった支援火器については専門コースを設定して生徒の育成に努めている。機甲科を有する他校との連携も重視され、より規模の大きな事態に対処できるように共同演習の頻度も高い。
一方で、後方支援要員育成のための輸送科・会計科などの専門学科も用意されており、即戦力としての戦闘兵科に偏りがちな指定防衛校制度にあって、同校は長期的な視点において貴重な人材提供の場となっている。 -
県立 里島高校
学科:普通科・支援科・武器科
海兵隊の指導によって防衛校化された里島高校は、同組織の影響を色濃く受けた指定防衛校である。厳しい初等訓練が有名で、小銃射撃の項目を全学科において必修化してる。
「攻めることで守る」という教育理念を掲げており、モットーは「常在戦場」。他校の生徒が護身用の拳銃程度しか携行しない「平時」であっても、自動小銃の携行が校則で決められており、生徒自身もかくあるべきとして受け入れている。
そのような背景もあり、現場に一番乗りすることが多く、攻撃的な戦闘スタイルと相成って他校生からは「殴り込み高校」と渾名され恐れられている。
艦船防衛教育を受け持つ館川海洋高校とは姉妹校関係にある。 -
都立 零葉高校
学科:狙撃科
都立零葉高校は「狙撃科」を有する公立の指定防衛校である。
設立当時、少ない予算で防衛校化する必要に迫られた同校は、低コスト高効果の「スナイパー」という兵科に着目し、その教育に特化することによって戦力化と生徒の生存性獲得に努めた。
アサルトライフルにスコープを付けた程度の狙撃から始まった技術教育だが、経験豊富な退役スナイパーを講師に招き、都内としては格段に広い射撃場を有効活用するなどの取り組みにより、徐々に実力をつけていき、今では『全国狙撃技術大会』で準優勝選手を輩出するまでのレベルに到達した。
一方、狙撃に特化した予算偏重の影響により学校設備は古いままで、一部生徒からは不満の声が出ている。校訓は「一発必中」。 -
私立 丹下高校
学科:特殊戦科
丹下高校は『航空管制』をカリキュラムに組み込んだ全国でも珍しい学校だ。指定防衛校制度制定後に設立された丹下高校は、現代戦の要である航空戦力と前線地上戦力を円滑に結びつけることができる人材の育成を教育テーマとしている。
そのテーマに正面から取り組む特殊戦科では卒業までに「統合火力支援管制員」の資格取得を目指すことになる。前線部隊に同行して綿密な航空支援を要請・管制することができるオペレーターの証しだ。前線を飛ぶ多様な航空機を管制できる知力、銃弾が飛び交う現場でそれを処理する冷静さ、戦闘部隊に同行できる体力…これらすべてが必要とされるため、資格取得の門は狭い。実際、丹下高校の資格取得者はいまのところ数えるほどしかいないのが現実だ。
一方で、気象科など他学科は、防衛職以外の職業にも生かせる各資格の取得率が高いため人気があり、教育テーマと現実の乖離がいまの丹下高校の課題となっている。
空港に隣接した土地を活かし、空自機・米空軍機との連携した訓練も行われているようだ。
パイロット育成行う私立丹下飛行技術学校とはグループ関係。 -
国立 朝霧高校
学科:普通科
陸上自衛隊駐屯地に隣接する国立の指定防衛校。自衛隊採用の武器・装備が支給され、訓練やカリキュラムも「自衛隊式」のそれに倣う形をとっており、守るための戦い方に主眼を置いている。自衛隊からの直接的な支援を受けられるため、指定防衛校としては恵まれたバックアップ体制を有する。
生徒の多くはそのまま自衛隊に入隊するか、防衛大学校への進学を果たしており、この国における防衛職人材供給のための重要な役割を担っている。
校訓は「用意周到」。 -
私立 銘令火器高等学校
歴史研究を主体とした指定防衛校の「銘令火器高等学校」通称”メイレイ・アーセナル”。歴史的な火器のメカニズム、設計思想、運用の変遷などを学ぶことで、現代火器への成り立ちを理解し、それらを運用・開発する為の基礎的思考力を養うことがこの学校の教育目標である。校訓は「故きを温ねて新しきを知る」。
同校の史学館と工廠館に収蔵された多くの資料は、本校以外での学習にも広く活用されているという。
